谷津田の王蟲 (おーむ)
皆さん、こんにちは。ナチュラルフード森の扉の野原です。
2011年の年末に茂木町に引っ越して来てから、もうじき4年が経過しようとしています。
茂木町を中心に素敵な仲間と出会い、その仲間達と立ち上げた「森と里のつながるマルシェ」も今回で4回目を迎えます。このマルシェを通してたくさんのご縁を頂きました。皆さんとの出会いに心から感謝しております。
茂木町はその名前からも察せられる通り、まさしく木が茂る町です。谷津(やつ)と言われる谷間の連続帯とともに広葉樹の雑木林が広がり、そこには、たくさんの生き物たちが生息しています。茂木町に引っ越して来てから出会った動物達は数知れず、イノシシ、キツネ、タヌキ、アナグマ、イタチ、テン、ウサギ、モモンガ、リス、フクロウ、サシバなど、まだ出会っていないのはムササビくらい。茂木町では人身事故よりも動物の事故の方が圧倒的に多く、特に動物達が活発に動き出す夜間の車の運転には注意が必要です。
この茂木町の谷津の連続帯の風景を眺めながら、自分はいつも宮崎駿氏の映像作品『風の谷のナウシカ』に登場する巨大な虫に似た生き物、王蟲 (おーむ)を思い出します。
この王蟲達のおかげで町内の豊かな自然が守られてきたと言っても過言ではありません。大規模な農業や工業には向かない土地で、茂木町の先人達は戦後の植林ブームにも踊らされず、炭焼きや原木椎茸などに利用される「木」を守り、育みながら茂木町特有の里山文化を築いてきました。そしてその谷津には無数の棚田が存在し、ホタルやミツバチがまだまだ色濃く生息しています。
この豊かな自然、里山文化を後世にも残して行かねばなりません。環境保全型農業に取り組む生産者の数が、栃木県内でも有数を誇る茂木町にて、森と里のつながるマルシェを開催する意味はとても大きいと思います。そのためにも我々は、このマルシェを通して、子どもからお年寄りまでの幅広い世代に伝えて行く(楽しんでもらえる)努力を怠りません。そして、「森」と「農」と「人」が繋がり、有機的な交流が生まれるともに、いつまでもホタルが舞い、ミツバチが飛び交う、豊かな里山が各地にも広がってくれることを切に願っています。
11月22日(日)は是非とも茂木に遊びにいらして下さい。
ナチュラルフード森の扉 野原典彦