森と里のつながるマルシェ

土に根ざした暮らしを見つめ直すオーガニックマルシェです(開催場所:栃木県茂木町)

【森里インタビュー】半農半宮司??八雲神社で工学が活きる【2022冬編④】

f:id:morimaru2014:20220116174456j:plain
八雲神社宮司 小堀真洋(こぼりまさひろ)さん

森里マルシェインタビュー企画2022年冬編第4弾。今回は茂木町八雲神社宮司を務める小堀真洋(まさひろ)さんにお話を伺いました。12月中旬、インタビュー当日の天気は雨。八雲神社に到着すると「暖房用のお茶です(笑)」と灯油ストーブの上のお鍋から出てきたのは、缶のお茶。あっったかい...。筋金入りの末端冷え性の指を温めて感覚を取り戻し、インタビュースタートです!!

茂木町八雲神社で生まれ育った小堀さん。小堀さんが宮司として八雲神社を管理するまでにはどんな過去があったのでしょうか。そして、何に向かって足を進めているのでしょうか。今回は小堀さん自身のことについてフォーカスを当ててお話を聞きました。また、今までとは一風変わった文章スタイルもお楽しみください。

小堀さんの過去

高校生の頃はロケット開発をしたかったですね。そのために理系の大学に行きました。大学生になりソトに出て初めて自分の家のこと、茂木町のこと、自分の役割について意識するようになりまして、それから神主にならなきゃなと思い始めました。うちは父も祖父も神主専業ではなかったんです。だからなにかをやりながら神主をしなくてはと思っていて、大学で理系に行ったこともあり建築の設計士を目指しました。
学生時代から神社の手伝いはしていました。高校3年生の時は小さい神社に行きご祈祷などをしていて、大学生の頃は車で1時間ぐらいで帰って来れたもんですから、秋になると七五三のご祈祷をしに毎週土日は帰ってくるという生活を送っていました。大学卒業後は建築の設計の事務所で仕事をしました。でもそうすると今度は神社の仕事ができなくなりまして。これはいかんということで会社を辞めて2002年からは神社の仕事に専念するようになりました。他には、錬心館(れんしんかん)という道場で剣道の指導を週に3回行なっています。

もともとは兼業が当たり前だった八雲神社芳賀郡内で宮司を兼業でやられている方は4分の1くらいおり、多いようです。意外な事実発覚ですね。

サツマイモを初めて作る

2014年から農業をしていて、サツマイモを作っています。道の駅もてぎの北側に近津(ちかつ)神社っていう神社があるんです。道の駅から山肌を登ってきてもらったら気持のいい場所だからいいんじゃないかと思って散策をしていたんですよ。そしたら近所のおばさんがいて、畑やってみない??と声をかけられたんです。それ以前は農業はしたことがなかったですね。何もわからない状態で初めて、その近所のおばあさんに教わりながらやりました。最初は5種類(紅はるか・紅あずま・安納芋・パープルスイートロード・太白芋)の芋を20本×5種類で100本植えました。えらく大変だと思ったね。でもたまたま上手くいったの。失敗してたら続けていなかったね。最初はすごく大っきいものができて嬉しかったんですけど、焼き芋にするならちっちゃいのが欲しい。小物を狙って、苗の植え方を調整してみたりして、いろいろ研究しています。でも、今年からは畑も増えて2000本植えましたからね。春に新聞に掲載されて、そしたら知り合いの人がうちの畑もって頼まれて(照)。

f:id:morimaru2014:20220116174756j:plain
「こんなに大っきいものができて」と最初にできたサツマイモの大きさを手で表す小堀さん

小堀さんがサツマイモを選んだ詳しいきっかけはこちらの記事から。


サツマイモの貯蔵に使っている洞窟があるんです。戦時中に大砲の加工をしていた洞窟で。戦時中の負の遺産的なものになってしまうんですけど、せっかく作られて所有地にあるので使おうかなと。洞窟の中は湿気が100%で温度は12度で一定。電気代も施設費もかからない貯蔵庫です。サツマイモは収穫してから2ヶ月ほど寝かせると甘みが出るんですね。サツマイモは秋の食べ物だけど、本当に美味しくなるのは年が明けてから。干し芋とか焼き芋にする時は砂糖も入れないから、素材の味が重要になってくるんですよね。だからサツマイモが腐らない、良い健康状態で熟成させられるのはとても有用です。
年明けにできる甘いサツマイモが、茂木の春先の物になればいいなと思っているんです。
普通は秋に食べるものだけど、茂木のサツマイモは春先が食べ頃の完熟のさつまいもですってね。売り出すときの名前も考えていたりしてね。

半農半宮司...なんて言っていいのかな??

外の空気、青空、雨とか自然が好きなので、畑に行ってやっていると楽しいんですよね。一区切りついたら、お弁当とビール買っちゃったりしてね。畑で昼寝して帰ってくるとか。農家さんに怒られちゃいますね(泣)。これをお金に換えて生活の糧にするっていうのは大変なことだなと思います。無農薬でやっていると手間はかかるし、見た目は不細工、小さいし。でも食べたら美味しい。それを慣行農業でやっている農作物と比べて売ろうと思うと大変だと思いますね。だから、“顔の見える関係”でやらないと成り立たないのかもしれないですね。野菜で見比べるんじゃなくて、これ〇〇さんが作ったから、〇〇さんの美味しかったから、みたいな感じで。私は、楽しくやらせて貰っていて申し訳ないですね(笑)。それも家内が居てくれるのでやりやすいです。

f:id:morimaru2014:20220116175012j:plain
楽しそうに話してくださる小堀さん
半農半宮司の新たな挑戦

自分で壺焼き芋をやりたいと思っています。壺焼き器を買おうと思うと1つ20万~30万くらいするんですよね。だから、私も工学・建築系なわけですから壺焼き器を自分で作ってみたんです。壺焼きでつくる焼き芋は焦げないし皮まで食べられる。ゆっくり温度を与えて1時間ぐらいすると、サツマイモのデンプンが分解されて糖に変わるんですね。電子レンジでやろうと思うと熱がすぐ加わるからデンプンはデンプンのまま。あとは、壺焼き器で熱を通す時に水蒸気でサツマイモ内の水分が抜けるんです。その分甘さとサツマイモの風味が凝縮された美味しい焼き芋に変わるんですよね。それに私のサツマイモは収穫後2ヶ月間洞窟で貯蔵されて、さらに甘みが増してる。どう、食べたくなるでしょ??

小堀さんの壺焼き芋、食べたくなりました(T-T)。
第4回森と里のつながるマルシェネットショップに出品予定です。ネットショップで焼き芋が買えるなんて、待ち遠しいですね。実は私、高校3年生の時に2018年11月の森里マルシェにお客さんとして参加していて小堀さんの焼き芋を食べたことがあったんです!!その時は対面で開催していて、八雲神社が多くの人で賑わっていました。今でも思い出すのは、小堀さんの焼き芋。2種類くらいの品種が用意されていて食べ比べができたのがとても楽しかったです。また、ロケット開発をしたいという思いで進んだ工学系の分野。壺焼き器の製作に活かされるとは。ここでも、つながりましたね。

そして今回はがっつり小堀さんのはなし言葉のみで文章を作成しました。これは聞き書き(ききがき)』といって、録音した音声を一言一句そのまま書き起こし、校正・編集しながら作りあげる手法です。話し手の人柄がダイレクトに伝わる味わい深い手法になります。この記事を読んだあなたは八雲神社に行ったことがなくても、もうすでに小堀さんの事をよく知るお知り合い・お友達...??(構成:西山ゼミ3年鈴木)

(写真:西山ゼミ4年山田)

★オンラインマルシェ開催準備中★
morisato-m.jimdofree.com

★森と里のつながるマルシェHP
morisato-m.jimdofree.com


★各種SNSでも案内を行っております!
よろしければぜひチェックしてくださいね。
Twitter
twitter.com

Instagram
https://www.instagram.com/morisato2020/?hl=ja