森と里のつながるマルシェ

土に根ざした暮らしを見つめ直すオーガニックマルシェです(開催場所:栃木県茂木町)

【森里インタビュー】マルシェ・茂木の里山文化・地元の人の融合を -多様性をマルシェに-【2022冬編⑦後編】

森里インタビュー企画2022冬編第7弾後編。
前編に引き続き、自然栽培・有機栽培の自然食品の宅配、飲食店への卸売りやイベント出店を展開している「ナチュラルフード森の扉」の野原典彦(のりひこ)さんのご紹介です!
今回の後編では、私たちも知らなかった森里マルシェ始まりの秘話や、野原さんがこの森里マルシェのかける想い、そして森里マルシェのコンセプトについて執筆いたしました!
また、この記事の最後には野原さんが出品されるお品物についてのご紹介もありますので、是非お見逃しなく!それでは後編いってみましょう!
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森と里のつながるマルシェ始まりのきっかけ

茂木に移住してきた野原さんは、2,3年活動していくうちにおよそ15人もの有機・自然栽培の農家さんと出会います。当時、茂木町は有機・自然栽培農家が多い地域でしたが、地元の人はそのことを知りませんでした。町内の人が知らないなら、町外の人が知っているわけがない。
「茂木からオーガニックを発信したいよね」
有機栽培・自然栽培の進んだこの茂木からオーガニックを発信していきたい、そう野原さんは周りの農家さんと話していました。しかし、農家と八百屋が一緒になってもマルシェはパッとしない。そう考えた野原さんは、これまで出会った茂木の多種多様な人々、例えばお菓子を作っている方や田んぼを開墾する公務員、作家さんなど総勢25人を巻き込んで、オーガニックマルシェを開催したいと、みんなを集めてプレゼンを行います。そこで共感してくれた約20人で、森と里のつながるマルシェが展開されていくことになります。

森と里のつながるマルシェのコンセプト

メンバーが20人ほど集まり、いざマルシェをしましょう!となったけれど、みんなそれぞれ向いている方向、目指す形が違いました。多種多様な方々が集まっているから、それは必然です。そこで、どれだけ時間がかかってもいいから、みんなひとりひとりが思う形、大事にしたいことプレゼンする場を設けました。毎回発表者を決めて集まり、メンバー全員が共有する思いを探り、半年間という長い時間をかけてコンセプトが完成しました。
そのコンセプトがこちら

『自然豊かな茂木町。広葉樹広がる里山では、たくさんのいきもの達が命を繋いでいます。そこには昔から受け継がれてきた文化や暮らしがあります。変わりゆく世の中にあって、変わらずにある”本当に大切なもの”は何か?この「森と里のつながるマルシェ」は、森と農と人が繋がり、心も体も喜ぶ食や文化をみんなで守り分かち合いながら、周囲の人々や次世代に繋いでいく明るく楽しい交流の場です。この豊かな里山に寄り添う営みを「森と里のつながるマルシェ」を通して発信していきます。』
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このコンセプトがある限り、この先どんな想いを持っている人が来ても、どんな人との絡み合いがあったとしても、きっとブレた方向に進むことはない。
野原さんは私たちに「初心に帰って、このコンセプトをこの先繋いでいってほしい」とおっしゃいます。

八雲神社が開催場所になったわけ

初めは茂木らしく自然を発信するために、キャンプ場のような場所でマルシェを開催しようと考えていました。そんな中、茂木駅の真ん中にある「まんなカフェ」という町が経営するカフェを管理していた方から野原さんは悲しいお話を聞かされます。
当時、SLに乗ってくる人が茂木で降り、SLの帰りまでの2時間、茂木駅周辺に何かあるわけではなかったので、まんなカフェでコーヒー1杯飲んで、ただぼーっと2時間過ごして帰るという流れがありました。そんな中、あるお客さんが帰りの間際に
「茂木町ってなんもないね」と一言。さらには「もう二度とこない」と辛辣な言葉を残して帰っていったという出来事がありました。
それを言われた管理の方は、自分が生まれ育った茂木をこんなふうに言われて悔しかったと、野原さんの目の前で号泣してしまったと言います。
この出来事から野原さんは、茂木にSLでくる人もいるなら、そういった人も来られるような茂木駅に近い八雲神社の境内でマルシェを開催しようと考えます。そうして八雲神社にプレゼンを行い、神社の境内で開催されることが決定しました。

大成功の第1回マルシェ 思わぬ電話

野原さんが初めてプレゼンをしてから1年、コンセプトが決定し、開催場所も決まり、さあ初の森里マルシェが開催!およそ600もの人が来場し、大賑わいを見せました。野原さんは「1年かけて良かった」と感極まりました。
するとここで一本の電話が来ます。電話の主は地元のおじいさんでした。おじいさんは
「今日地元の人何人来たんだ?」と野原さんに問います。野原さんは地元の方結構来たと思いますよと答えると、おじいさんは
「いや、俺の知っている限り3人しかいなかった」と言いました。その後はおじいさんの自己PRが延々と続き、おじいさんが何を言いたいのかわからず困っていた野原さん。
しかし最後に、「遊びでやってもらっちゃ困る」と野原さんに一言放ちます。
その一言で野原さんの頭に血が昇りました。決して遊びでなんかやっていない。そう話す野原さんにおじいさんは
「周りの人間は冷ややかな目で見てるぞ」と言いました。
この発言から野原さんは、自分たちはよそ者。いかにして地元と融合するかが大切である
おじいさんが伝えたかったことはこれだと感じ、直接お話を聞きにいくことを決意します。そのおじいさんは昭和20年代から自然食を実践し、お子さんにも玄米を持たせ、ご自身でも無農薬のお米を作っていた経験がある方でした。
おじいさんは自然食を取り入れていることに関して自身がこれまで冷ややかな目で見られてきた経験を話し、その上で
「あんたらのやっていることは素晴らしいことだけども、地元の人は冷ややかな目で見ている。心置きなくやっていけるようにしなさい。」と。このおじいさんは先駆者で、自分にご指導してくださっているんだと野原さんは思いました。
そこで地元との人との融合に、茂木に根付いた里山文化を大事にしていこうと考えた野原さんは、おじいさんにわらじを編んで第2回のマルシェに参加してもらうよう打診しました。

*そのおじいさん(大町さん)に関する記事(2015/5/29)はこちらから!
morimaru2014.hatenablog.com

マルシェ・茂木の里山文化・地元の人の融合を

『マルシェっていうのは、オーガニック農産物を売る場所じゃなくて、有機的なつながりの場としてマルシェを捉えている。』
別に野菜だけで勝負する必要はない。例えばナチュラルなオーガニックコットンや螢籠などをマルシェに出品し、マルシェと地元と文化との融合を試みる。
野原さんは茂木の里山文化を大切にすることで地元の人と繋がり、そのつながりで生まれた文化的な産物をこのマルシェに取り入れることで、地域理解を得て、人と人との有機的なつながりを作り出しています。

多様性ををマルシェに

先ほど野原さんが言っていたように、マルシェはオーガニック農産物を売る場所ではなく、人と人とが有機的につながる場所です。オーガニック野菜だけでなく、わらじや螢籠といった文化的なもの、さらには自然素材からできた手作りのものなどを誰でも出品できるようにし、多様性を大事にすることで、色んな人との有機的なつながりがそこに育まれ、文化が伝承され、地域循環が生まれる。「多様性」を大事にしていきたいと野原さんは言います。
また、野原さんはマルシェの出店者の多様性も大事にしています。
出店者を全員茂木の人にしてしまうと、地域色100%の自己満マルシェになってしまう。そうならないために、出店者の半分は茂木の人にし、もう半分は東西南北の出店者を呼ぶことを野原さんは特に大切にしています。これをやらないなら絶対にマルシェはやらないというほど断固たる意志がそこにはあります。他の地域の出店者を呼ぶことで、このマルシェの活動が他の地域に拡散されていく。野原さんが出店者の多様性を大切にするのにはこういった想いがあります。
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商品紹介!

最後に、野原さんが今回出品される全3品のお品物をご紹介させていただきます!

・日本晴・醤油麹プレーン
森の扉スタッフが蛍乱の舞する茂木町の早坂の棚田で育てた、自然栽培のお米「日本晴」(玄米)を使用した醤油麹です。日本晴は発酵食品との相性が抜群!製造は田んぼ仲間の「食や」さんに依頼しました。大正、昭和、平成にわたって味噌蔵に住み着いている麹菌を採取し、自然のプロセスを経た米麹 ・化学物質で汚染されていない井戸水 ・自然の力で2年かけて熟成した醤油。これらを使用した、国内でも唯一無二の醤油麹です。発酵食品との相性抜群の日本晴と天然麹菌のハーモニーを是非ともお試し下さい。
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・さつまスティック(塩味
栽培期間中、農薬も肥料も施さずに育てられた自然栽培のさつまいもを使用した、塩味のさつまいもスティックです。砂糖を使わず、塩をふりかけ、さつまいも本来の甘さを引き出しました。添加物を一切使用していないヘルシーなおやつです。
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・煎り落花生
 培期間中、農薬も肥料も施さずに育てられた自然栽培の落花生(千葉半立)を使用した、煎り落花生です。自然栽培ならではの、すっきりとした甘さと香ばしさのハーモニーをお楽しみください。
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森と里のつながるマルシェ誕生秘話いかがでしたでしょうか??
どんな経緯で、どんな想いがあって森と里のつながるマルシェが発足したのか、まさに原点と言えるお話をお聞きすることができましたね。私、去年の10月から関わらせていただいているこの森と里のつながるマルシェですが、お恥ずかしながら野原さんにお話を伺うまでこのコンセプトを知りませんでした。
現在、コロナウイルスの影響で本来の対面でのマルシェは開催できておらず、また、出品者はみなさん茂木の方という現状があります。今後は野原さんの大事にしている「多様性」をこのマルシェにも取り入れ、この活動、そして人の輪を拡げていきたいと思います!
そして、初心を忘れず、発足立ち上げの想いとこのコンセプトを私たちが引き継ぎ、次の世代へとつなげていきます(構成:林)

*森と里のつながるマルシェ発足当初の想いを綴った野原さんのブログ(2014/5/27)はこちらから!
morimaru2014.hatenablog.com

森と里のつながるマルシェ4回目の時の野原さんのブログ(2015/10/17)はこちらから!
morimaru2014.hatenablog.com


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