森と里のつながるマルシェ

土に根ざした暮らしを見つめ直すオーガニックマルシェです(開催場所:栃木県茂木町)

【MARCHE】陶芸 泉埜【出店者紹介㉓】

マスミノウツワ

 人間はみんな天邪鬼なところがあります。やれと言われればなんとなく気が重い、見るなと言われれば見たくなる、私もそうです。「こうしてはいけません」「こうしなければいけません」と言われると、確認してみたくなります。

 そして、とても素直に「してはいけない」ことを試してみました。「しなければいけない」を無視してみました。その結果、なぜなのかを納得することができました。わかりやすく本当と嘘を整理することができました。

 例えば、器を薄く作ってはいけないよ、と言われれば、薄く薄く作ってみました。ちゃんと焼き上がります。もちろん壊れやすいのですが、繊細で儚いものが好きな方はとても喜んでくれます。穴釜というまき釜で焚いた時にも、他の穴釜で焼く人たちが、空気を絞ってあまり温度を上げずにできるだけ長時間、もっと頑張れもっと必死にとやっている時に、いいから空気をどんどん入れて、温度を上げて、できるだけ疲れないように頑張らないようにやってみたら、いい物がいっぱい焼けて、根性論ではなく理屈・理論がわかってきました。

 ただ闇雲に、「頑張りが足りない」ではやはり納得ができません。私自身は、つまり納得できるまで、裏も脇もそして表も確かめて、試して、納得するまでは、決して満足しない。そんな性格のようです。

 師匠を持たなかったのはむしろ幸いでした。先生に何か言われたら、真面目に「してはいけない・しなければならない」に取り組んでいたと思います。

 陶芸には理屈・理論がたくさんあります。素材も理論・分析・経験に基づいています。技術も同じです。知識も必要ですから、勉強もしなければいけません。

 今にしてわかるのは、「しなければいけない・してはいけない」というのは、限られた時間で一通り教える・教わる時には必要で、有効な方法だということです。急いでひとまず覚えてください、という時には仕方のないことです。学生の修学旅行のようなものでしょう。団体行動ですから、予定も規律も必要です。でも、のちのち個人で旅行するならば、自由にどこへでも行ってみればいいし、なんでもしてみればいいのです。失敗もトラブルもあるだろうけど、だんだん自分の地図が出来上がってくるのだと思います。

 私自身の作陶はいつもそのようでした。100個の作品を窯で焼くならば、同じ作品を100個焼くつもりはありません。10個ずつ10種類、さらには1個ずつ100種類の方が性に合っています。ですから、私の中の地図がどんどん広がって、しかも詳細になっていきます。それでもまだまだ行ってみたいところ、行ったことのない場所が無限に広がっていますから、自分の興味・好奇心の赴くまま、新しい疑問に取り組んでいきます。あれもこれも試していきます。そうして出来上がっていく器は千差万別、いろいろです。私自身も予測がつきません。なにしろ予測がつかないことを多名しているのですから。ぜひとも手に取って、あれもこれもみてほしいのです。作り手の私自身も全く手に余るほど豊かな世界が、そこには広がっているんです。



◎第12回 森と里のつながるマルシェ◎
開催日:2022年11月23日(水・祝)
開催時刻:10:00~15:00
場所:茂木町八雲神社境内

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