私たちの住まう日本は古来から稲作を中心に暮らしが営まれてきました。
日本国が日本国である由来は古事記や日本書紀(以後、記紀と称します)に記されています。記紀には神々が登場するので歴史書というよりは神話として認識されている方が多いのですが、功績が著しい人を神格化して表現されているともいえ、そのような読み方をすると記紀は歴史書としての役割もあるのです。
記紀には天皇陛下の祖先が稲穂を以て国を統治するように神々から諭される様子が記されています。天皇陛下の後祖先は稲作を盛んにすることで民の暮らしを支え、安らかな生活を目指しました。そんな皇室を中心とした国造りが古来から行われてきたことが記紀に記されているのです。
稲作は水田になり、広大な土地を水稲栽培のために田としました。日本人の都合の良いように自然を造りかえてきましたが、その水田には多様な生物が息づいて、里山や奥山の自然と相まって多くの動植物が育まれるようになりました。日本人は水田開発を通して自然との共生を実現してきたのです。
古来、日本人は稲作と通して得られる様々な恩恵に畏敬の念をもち、それが自然崇拝となり、以後は神の社を建て設け祭を行ってきました。日本国を統治する皇室でも古くから祭が行われ、その様子は記紀をはじめとする古典に記されています。とりわけ、稲作を精米し、酒を醸し、様々な食物と共に神に供える秋の新嘗祭は重要なお祭とされてきました。現在でも天皇陛下は皇居の宮中三殿といわれる神社にて新嘗祭を行い、天照大御神をはじめとする神々に新穀をお供えするのです。陛下はその祭典が終わるまでは新穀を召し上がらずに過ごします。
皇室の氏神さまとされる伊勢の神宮はじめ日本国中の神社でも新嘗祭が行われてきました。現在、勤労感謝の日とされる11月23日は新嘗祭の祭日でした。現在も全国の神社では新嘗祭が行われ、八雲神社でもこの日には氏子の代表の総代が参列し新嘗祭が行われています。
今回の森と里のつながるマルシェは、古来より収穫を祝うこの新嘗祭当日に開催されます。命を育み歴史や文化を育ててきた稲作やわが日本国や茂木町の歴史や先人に思いをはせてみてはいかがでしょうか。
【時間】12:00~
※皇居で行われる新嘗祭は天皇陛下のもと三権の長が参列し、23日午後2時半から翌午前1時頃まで行われます。
伊勢の神宮では、豊受大神宮(外宮)で午前4時と午前7時に、皇大神宮(内宮)で午前11時と午後2時に行われます。
◎第12回 森と里のつながるマルシェ◎
開催日:2022年11月23日(水・祝)
開催時刻:10:00~15:00
場所:茂木町八雲神社境内