森と里のつながるマルシェ

土に根ざした暮らしを見つめ直すオーガニックマルシェです(開催場所:栃木県茂木町)

【森里インタビュー⑥】里山で新たな挑戦を 八雲神社 小堀さん

インタビュー企画第 6 弾。今回は八雲神社宮司を務める小堀真洋さんだ。宮司として 各種祭祀を執り行う傍ら、稲作・畑作にも挑戦している。特製の焼き芋『こがねちゃん』も 大人気だ。そんな彼はどのような想いを抱いているのだろうか。

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八雲神社 宮司 小堀真洋さん 
「やってみない?」その一言が始まりだった

6月某日、私たちは八雲神社にお邪魔した。小堀さんがいつものように笑顔で出迎えてくれ た。八雲神社は町の中心部に鎮座し、地元住民から‘‘八雲さん‘‘の愛称で親しまれている。マ ルシェ開催時には、多くの人で賑わい、笑顔が生まれ、交流が生まれる。

日本で古くからお米は神聖な食べものだ。五穀豊穣や平和祈願...儀式には欠かせない。しかし、これまで土地の制約で稲作を行うことはなかったという。「茂木町は田舎だけど(神社があるのは)町の中じゃないですか。だから、田んぼや畑とか責任をもってやったことがなくて」転機はマルシェメンバーの一言だった。「やってみない?」声を掛けられ始めた稲作。 農薬や化学肥料を使わずに手掛けている。「農作物がどうやってとれるのかとか分からなかった。今ではいい経験になっています」

まるで狩人?!マルシェの個性と積極性

稲作だけでなく、畑作にも挑戦中の小堀さん。選んだのはサツマイモだ。「神社の管理地に洞窟があるんですよ。戦時中はそこで大砲の砲身が作られていました」戦後、そのまま残った洞窟。小堀さんは洞窟を何とか活用できないものか悩んだという。「危険だし、草刈りもしなきゃいけないから大変で。農作物の貯蔵に使えないかなと思っていました。そしたらサ ツマイモの貯蔵にいいんじゃないかってアドバイスをいただいて」選んだ苗は紅はるか。たまたま選んだものだったが、洞窟での貯蔵にピッタリだった。洞窟でゆっくりと熟成、壺焼き器でじっくりと過熱された特製の焼き芋『こがねちゃん』は新聞にも取り上げられ、ファンも多い。 一方で課題もある。洞窟の整備だ。一人での活動では困難なことも多い中、松原さんや沓掛さんらの協力得て、組合の結成を目指している。「最終目標は所有地を有効活用することです」。

マルシェと関わる中で沢山の刺激をうけ、新たな取り組みをはじめている小堀さん。マルシェ参加者には移住してきた人も多いが、彼らにはどのような印象を抱いているのだろうか。「慣行栽培じゃないやり方をされているので積極的な人たちだなと思いますね。中には うまく行かず外に出て行ってしまう人もいるけれど...」当たり障りなく慎重に過ごすのではなく、アクティブに動き続ける人々。一人の一人の個性の強さとフットワークの軽さ、そしてチャレンジ精神。「農家だけれど思想は狩人」。

神様と人との懸け橋として

茂木との関係性、そしてこれからについて語ってくれた。「一言で表すなら‘‘責任‘‘ですかね。まずは神社のことをちゃんとやっていかないとね。たくさんの人が支えてくれているけれど、神社は建物がある公園のようなものなので、維持管理にかかる費用は少なくない」これらも永く続いていくために、神様と人との架け橋となるのは農作物だ。 「参拝者の方との接点となるような活用をしていきたいですね。元々お米は御神前にお供えするもの。その後は参拝してくれた方やお手伝いの皆さんへのお礼としてもお渡ししたい。仲取り持ちとしてのお野菜。志をお伝えしながら配っていきたいなと思っています」
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米一粒、汗一粒。
いただきます。ごちそうさまでした。
(文・構成:菊池 写真:山田)

小堀さんのお米もあります。オンラインショップはこちら!
morisato-m.jimdofree.com

開催期間:6/26(土)~7/10(土)