森と里のつながるマルシェ

土に根ざした暮らしを見つめ直すオーガニックマルシェです(開催場所:栃木県茂木町)

【森里インタビュー】偶然、でも“必然的”に茂木に出逢った淡月・太田香織さんの物語【2022夏①】

ドライブイン茂木・淡月 ~桃源郷のような里山にひっそりと佇む~

茂木町町田地区。茂木町を南北に走る幹線道路から一歩外れ山の中を進む。開かれた高台にドライブイン茂木はあった。まるで桃源郷のような場所にひっそり佇むお店。しかし、平日の昼間にも関わらず10台近く停められる駐車場は満車状態であった。ドライブイン茂木には喫茶・パン屋・古本屋など4店舗が同じ屋根の下、店を構えている。その中で焼き菓子を販売する「淡月(あわつき)」、太田香織(おおたかおり)さんに今回お話を伺った。

ドライブイン茂木の外観。知る人ぞ知る人気のお店。
美容の道に進んだ学生時代 ~自分がやりたいコト~
栃木県宇都宮市で生まれ育った太田さん。高校卒業まで栃木県で過ごし、双子のお姉さんの影響で美容の専門学校に通うために上京した。当時はエステティシャンを夢見て勉強し、卒業後は東京でエステの仕事をしていたそう。しかし、約3年働いたのち美容の仕事から離れることに。「技術以外の部分で気を使ってしまって辞めてしまって。そして家庭の事情を機に宇都宮に戻ってきました。その頃に東日本大震災が起こり、これからの自分を考えることが増えました。」と太田さん。美容の仕事に別れを告げて次に太田さんが目指した道、それはなんと「農業」であった。
農業を仕事ではなく、違う視点から ~人生のターニングポイント~
「(実家は)兼業農家でした。お米を作っていて。小さい頃から手伝ったりしていました。」と太田さんは話す。「宇都宮に帰ってきたときに、最初農家になろうと思ったんですよ。祖母の畑も空いていてやろうと思っていたんですけど、農業の勉強もしていないのでどうすればいいか分からなくて。その時にネットでいろいろと調べていた時に、農家一本になるのではなく自分の好きなことをしながら生活している『半農半X』という言葉を見つけて。」 ここで太田さんは、ある派遣会社が所有する淡路島の農場で農作業しながら自分の好きなことをするというプロジェクトに参加することを決意した。農作業後は絵を描く人や音楽をする人などがいる中で太田さんはカフェで接客のアルバイトをしていたと言う。その後、「作る側をやってみたい。」と女性1人でやっている神戸の洋菓子屋でアルバイトを始めた。「スタッフは募集していなかったんですが、そのお店が気に入って自分から声かけました。」
おしとやかな雰囲気の太田さん。しかし太田さんの行動力には敬服である。
お菓子作りに関して当時はまだ勉強中であった太田さん。見習いとして基礎を学び「自分で作れた!」という感動を味わったそう。その後、和菓子屋やカフェを経験して栃木に戻ってきた。今では土日で宇都宮の畑で農作業をし、平日はお菓子作りをするという生活をしているという。「半農半お菓子作り」の実現である。
「淡月」として ~3つのご縁から始まったストーリー~
出産を機に2020年に栃木に戻ってきた太田さん。「最初は宇都宮に住もうとしていて。祖母の空き家があるのでそこに住もうとしたのですが、改修が必要であったり問題が出てきたので別の場所を探そうとなって。そこで今の(茂木町の)お家を見つけました。」と当時を振り返る。「京都にいたときに茂木町で昔ながらの暮らしに密着している動画を見て、連絡をとったことがある。」と太田さんは続ける。遊びに来てください、と連絡を受けていたことを思い出し、茂木町にご縁を感じた。 移住して少し経った2021年夏、茂木町で開催されるマルシェに「淡月」として初出店した。淡月という屋号について「(茂木に来る前に住んでいた)京都にいた頃考えていた名前で。最初はひらがなで『あわつき』としていたんですけど。(茂木町内を流れる)那珂川が昔、粟河と言われていたと聞いて、『あわつき』がリンクして。ご縁を感じました。」と紹介してくれた。 さらに「前に(ドライブイン茂木で)お菓子を販売されていた磯部なおみさん(第3回ネットショップでも出品してくださいました!記事はこちらから!)も『葦月』さんで。月が同じでこれもご縁を感じて。」と話す。 当初茂木に住むことは想像していなかったという太田さん。不思議なご縁の数々から「淡月」の物語が始まった。
店舗にて。「淡月」太田香織さん(写真中央)と「葦月」磯部なおみさん(写真右)。
提供:太田香織さん
〇茂木のココが好き ~大切な想い、そしてこれから~
太田さんは茂木町の好きなところとして、オープンなコミュニティであること、心の距離が近いこと、茂木愛が溢れる人が多いことを挙げた。偶然、でも必然的に出逢ったこの茂木で考え方が大きく影響を受けたと話す。 太田さんはお菓子のことを「果子」と表現する。「昔の人は木の実や果物をおやつにしていたことを知って、そういうお果子でありたいという想いがあります。」と語る。自然豊かな茂木の地で、自然との関わりを大切にしていきたいという想いから生まれた表現なのかもしれない。 今後は新しい空き家を夫婦で改修を始めていくと展望を語った。将来的には昔ながらの暮らしをしていく場所を作ることを目標にしている。「お果子作りも大切だけど、まずは自分の暮らしの土台をしっかりとしていきたい。これも茂木に来て思うようになりました。」 多くのご縁から再スタートした太田香織さんの人生。その視線は一歩ずつ将来を見据えている。 (文・写真:山田 提供:太田香織さん)

コラム 穏やかなエネルギーを感じに 『あわつき』という屋号を決めたのは、茂木町に住むということも決まっていなかった京都にいた頃。太田さんは、以前からカタカムナ(約1万3千年前の上古代の東アジア一帯、特に日本で高度に発達したといわれる言霊を元にした宇宙物理学。図のような線と円のシンプルな要素で作られた文字)に心惹かれるところがあり、そのカタカムナから「あ」と「わ」をお借りしたそうです。カタカムナにはその『音に込められたエネルギー』があるといいます。「あ」の音には「感じる生命」という思念が、「わ」の音には「調和」という思念が表されています。また「あわ」とはカタカムナで“女性性”のことであり、「つき(月)」も女性と関係の深い文字であることから、「あわつき」を選んだそうです。「あわつき(淡月)」という屋号には、自然の中で様々な生命と調和し、その中で自分自身で自分の幸せを選び取る.....、私の拙い言葉では表現仕切れないほど様々な深い意味・思考が含まれています。

そんな太田さんは「穏やかなお果子を作りたい」と話します。“人とのご縁・人のココロ・自分自身のココロを大切に生きること”を重んじる太田さんがつくる、自然の中の生命をお裾分けしていただいてできた、お果子。なんだか、繊細で力強い幸せなエネルギーがもらえそう……。ぜひ、ご賞味ください。また、ドライブイン茂木「淡月」へ太田さんに会いに、太田さんの価値観・暮らしに触れに、ぜひ足を運んで見てください。
(文:鈴木)


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