森と里のつながるマルシェ

土に根ざした暮らしを見つめ直すオーガニックマルシェです(開催場所:栃木県茂木町)

【森里インタビュー】食べ物が育てられる里山の環境と知恵を次の世代につなぐ -足るを知り、自然に沿った生き方を-【2022冬編⑥前編】

森里インタビュー企画2022冬編第6弾。
今回は初となる「雑穀農家のパンと宿 月noco」の君島佳弘(きみじまよしひろ)さんと君島紀子(のりこ)さんご夫婦へのインタビューです!
月nocoさんはパン屋さんと民宿の経営、そして「里山ごはんのがっこう」というオーガニックの農業体験イベントを行っており、『食べ物が育てられる里山の環境と知恵を次の世代につなぐ』をテーマに活動されています。月nocoを経営する佳弘さん紀子さんご夫婦は一体どんな経緯で今に至るのか。そのルーツを探るべく、おふたりの記憶を幼少期まで遡り、生い立ちからや学生時代のこと、おふたりの出会いや今の活動をするきっかけ、そしてみなさん気になるであろう「月noco」の名前の由来など、様々なお話をお聞きしました!
おふたりの過去と今をつなぐインタビュー内容になっております!ぜひご覧ください!

なお、今回の月nocoさんの記事は前中後編の3部構成となります!
前編は「佳弘(よしひろ)さん」、中編は「紀子(のりこ)さん」、後編は「おふたりの出会い、月noco誕生、名前の由来とふたりの想い、そして今後の展望」について執筆しました!
この度のオンラインマルシェ(2022年冬)に月nocoさんが出品されるお品物については後編の最後に執筆しましたので、ぜひお見逃しなく^^

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君島佳弘(きみじま よしひろ)さん
内向的で喋るのが苦手だった幼少期の佳弘さん

栃木県大田原市出身の佳弘さん。子供の頃は「内向的」な性格で、喋るのが苦手。アクティブな感じはなく、何かに深く興味を持つことはなかったそうです。また、幼少期から高校時代まではテレビゲームで遊ぶことが多く、人と関わるのが得意ではなかったと言います。
しかし、今は農業体験や民宿の経営など、「人が集まる場・交流する場をつくる側」として活動されています。ちなみに今の趣味は農作業とDIYだそう!とってもアクティブですね!
また、内向的で喋るのが苦手とおっしゃっていますが、今回のインタビューが初対面だった私をニコニコ笑顔で迎えてくださり、私たちひとりひとりにすごく興味を持ってくださいました。私たちがインタビューをしに伺ったはずなのに、逆インタビューというか、どっちのインタビューだっけ?ってなるくらいお話を楽しんでいらっしゃる様子からは全然内向的だとは思えなかったです(笑)
そんな内向的な性格の持ち主だった幼少期の佳弘さんでしたが、近所に那珂川が流れていたり、母方の実家が農家だったり、おじいちゃんが釣りをやっていたりと、幼少期から自然に触れる機会が多く、『なんとなく自然がいいな〜』という気持ちがありました。

写真を通して「食」に興味を持った専門学生時代

高校生の時、「世界のいろんな地域を見てみたい」という想いから、東京の日本写真芸術専門学校という3年制の写真の専門学校に進学し、「報道」を専攻します。もともとなんとなく「農業」や「世界の食べ物と文化」に興味があった佳弘さん。18,19歳の時に、それをテーマに撮りたいとドキュメンタリー先生に話すと、「そんな甘いこと言ってるんだったら、ちゃんと命の現場を見てこい」
と言われ、茨城と神奈川の食肉処理場に取材に行くことに。その食肉処理場の取材を通して、『豚が集められ、お肉になっていく過程を見て、初めて食べ物に関してより強い興味を持った。』と、その取材は佳弘さんが「食」について深く考えるきっかけになりました。
お肉が食べられなくなったわけではないけれど、『自分の食べているものがどこから来ているのか実感できない世の中ってなんか違うな』とゾワゾワ感じ始めたと言います。

3年生の時、学校で東南アジアやインド、チベット、中国を各自でテーマを決めて撮影して周るというカリキュラムがありました。都市部をテーマに撮影する人もいれば、各地の日本軍の痕跡を撮る人もいて、テーマが様々な中で、佳弘さんは「農業」に興味があったので、東南アジアやインドの村に行って、村の生活を撮ることにしました。現地では、牛と一緒に暮らしている家族や、病気で亡くなった子が地べたに座り、村の人たちがそれを囲んですり泣いている様子など、「生と死」の現実を目の当たりにしました。
『生と死が、生きることが、生老病死とかが日常にあるような世界がすごく魅力的に見えて…。それがきっかけで、農業に、自分で食べ物を作る暮らしに惹かれ始めた。』この経験を通して、「自分で食べ物を作る暮らし」というものに興味を持つようになりました。

農業の道へ

専門学校を卒業後、報道写真で生きていくか、それとも農業で生きていくかを悩みます。アジアやアフリカの農村を取材するにしても、現地の人の気持ちがわからないと感じた佳弘さんは、まずは現地の方々について学べる場所で勉強しようと、実家の近くの那須塩原にある「アジア学院」という学校に目をつけました。そこはアジアやアフリカの方が有機農業やコミュニティビルディングを学びにくる学校で、そこで1年間、広報やビジターさんを受け入れる仕事をボランティアとしてお手伝いをしました。アジア学院では農作業を中心とした生活をしており、その生活を撮っていく中で、写真を撮る側よりも、実際に農業をする方がかっこいいなと思ったそうです。そうして、アジア学院での経験を経て、農業で生きていく道を選択しました。
初めは、農業をするにもお金がなかったので、北海道で酪農ヘルパーという仕事をしたり、岩手県でパーマカルチャー*1や自然栽培をしている農家さんのもとで一年半ぎっしり研修したりと、お金を貯めつつ、着々と農業を学んでいきました。


『自分の食べているものがどこから来ているのか実感できない世の中ってなんか違うな』
みなさんはご自身が普段口にしている食材がどこから来ているのか、深く考えたことはありますか?
お肉のパック1つをとっても、どんな流通経路を通ってどのような加工の過程を経て、私たちの手元に調理しやすい形で届いているのか。すべてはわからないし、見ようとしても見えづらいですよね。
私も森里マルシェの生産者のみなさんからいただくお野菜以外、生産地はわかりますが、どういう栽培方法で育てられた野菜で、どんな飼育をされたにわとりが産んだ卵で、どんな飼料を食べた豚のお肉で…。そしてそれらがどこを通ってスーパーに並べられて、私たちの手元にたどり着いているのか。全然知りません。
このように、自分の口に入れるものが、謎の加工・流通ルートを通って、何も知らぬ間に口に入っているって想像すると、佳弘さんと同じく私もゾワゾワっとします。
そう考えると、生産者さんの顔が見える食材ってとてもいいですよね。
それと、顔だけじゃなくて、栽培方法や生産者さんのこだわり・想いまで聞くことができたら、「顔が見えるから安心安全だね」っていう気持ちを通り越して、「この生産者さんが育てた野菜を買いたい!」ってなると思うんですよね。
何気ない1日がちょびっとハッピーになるような「日々の楽しみをくれるもの」にもなれると思うんですよね。

この記事を通して、佳弘さんと紀子さんの顔だけじゃなくて、おふたりの為人もこだわりも想いもみんな、みなさんにお届けできたらいいな〜って思ってます^^(構成:西山ゼミ3年 林)

次回は中編「紀子(のりこ)さん」へのインタビュー記事です!

紀子さんの知られざる過去、そして隠されし幼少期の秘めたる想いが今、明かされる…!
乞うご期待!

写真:西山ゼミ4年山田<参考資料>
・「パーマカルチャー」について
https://pccj.jp/

★オンラインマルシェ開催期間:2022/01/29~2022/02/13
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*1:パーマネント(永続性)と農業(アグリカルチャー)、そして文化(カルチャー)を組み合わせた言葉で、永続可能な農業をもとに永続可能な文化、即ち、人と自然が共に豊かになるような関係を築いていくためのデザイン手法のこと。